【5月2日 AFP】米人権団体フリーダムハウス(Freedom House)は1日、「報道の自由(Freedom of the Press)」報告書を発表し、エジプト、トルコ、ウクライナでの報道の自由の後退や、安全保障関連の報道に歯止めをかける米国の動きなどにより、世界の報道の自由はこの10年で最低の水準になっていると指摘した。

 この調査報告は1980年から毎年行われている。今年の報告書によると、2013年に報道が「自由」だと評価された地域の人口は世界全体の14%、わずか7人に1人だった。一方、報道が「部分的に自由」とされる地域に住んでいるのは世界の人口の42%、「自由ではない」地域とされる人口が44%に上った。

 フリーダムハウスのカリン・カールレーカル(Karin Karlekar)プロジェクト・ディレクターは発表会見で、多くの国でジャーナリストが政府と政府以外の当事者の両方から意図的に標的にされており、取材活動を物理的に妨害・阻止されたり、記事を検閲されたり、政治的な意図をもって解雇されたりしていると警告した。

 2013年の調査で対象とされたのは197の国と地域。このうち報道が「自由」と評価されたのは63、「一部自由」が68、「自由ではない」は66だった。報道の自由度の高い国の上位にはオランダ、ノルウェー、スウェーデンなどが並んだ。またワースト3は北朝鮮、トルクメニスタン、ウズベキスタンだった。

 報告書は、権威主義的な政府によるインターネット上の記事やジャーナリストの活動の監視への新技術の活用に懸念を表明した。カールレーカル氏は「政府の取り締まり活動は、インターネット空間でも高度になっている」と述べた。

 中国は「自由ではない」、インドは「一部自由」と評価された。 米国は報道が「自由」な国との評価は変わらなかったが、順位は下がり、オーストリアと同じ30位だった。その理由として報告書は「報道関係者に情報を提供しようという米政府高官の意思が限定的」で、情報公開請求が却下される例が増えていることや、刑事捜査でジャーナリストが標的とされていることを挙げた。

 今回、報道が「自由ではない」に格下げされたのは、リビア、南スーダン、トルコ、ウクライナ、ザンビア。また中国とロシアは国内に拠点を置く出版メディア、放送メディアに対する厳格な統制を続けていることに加え、ブログ閲覧や外国を情報源とするニュースも統制しようとしていると指摘している。両国とも2013年にインターネット上の言論を処罰する法的措置を新たに導入している。(c)AFP/Rob Lever