【5月1日 AFP】ウクライナ暫定政権は4月30日、同国軍がロシア軍侵攻の可能性に備え「完全な戦闘態勢」に入ったと発表するとともに、混乱が深まる同国東部で市町の掌握を続ける親ロシア派勢力の阻止には「無力」であることを認めた。

 東部ゴルロフカ(Gorlivka)市当局がAFPに語ったところによると、同市では同日、親ロシア派が警察署や市庁舎を占拠した。

 親ロシア派はこれまでに東部で十数の市町を掌握している。29日にはゴルロフカに近いルガンスク(Lugansk)市で、武装集団に率いられた数百人の親露派住民が警察署を襲撃し、建物を包囲した。親露派は、翌30日に警察署長が辞任を約束したのを受けて包囲を解いた。

 さらに地元メディアの報道によると、親露派はアルチェフスク(Alchevsk)市の議事堂も抵抗にあうことなく占拠したという。

 オレクサンドル・トゥルチノフ(Oleksandr Turchynov)大統領代行は暫定政権の閣僚らを前に、東部で行政庁舎を次々と占拠する親露派勢力の阻止に法執行機関は「無力だ」と語った。

 さらに、ロシアが対ウクライナ戦争を開始する「現実の脅威」に直面したとし、政府軍が「完全な戦闘態勢」に入ったと述べた。

 またウクライナの「愛国者」に対し、窮地に立つ警察を支援するよう呼びかけた一方で、警察の「怠惰」や「裏切り行為」について批判。最優先事項は東部に広がる「テロリズム」を阻止することだと述べ、東部では一部の警察官が分離派に協力すらしていると指摘した。(c)AFP/Richard CARTER, with Dmitry ZAKS in Moscow