【4月28日 AFP】台湾政府は27日、原子力発電所の建設計画撤回を求める市民数万人が台北(Taipei)の主要道路を封鎖した事態を受け、この原発の建設を中止すると発表した。

 台北郊外に計画されている第4原子力発電所の建設中止を要求するデモの参加者らは、警察の警戒線を突破し、交通量の多い8車線の交差点をふさいだ。同日夜、与党・国民党(Kuomintang)は反原発デモの圧力に屈し、第4原発の建設中止を誓約した。

 国民党広報担当の范姜泰基(Fan Chiang Tai-chi)氏は「原子炉1号機の建設はこれ以上進めない。安全検査だけを済ませ、その後(原子炉1号機)は密閉し保管する。原子炉1号機の建設は終了されるだろう。将来的にいかなるこうした(原発の)商業運転も住民投票に付されるだろう」と語った。

 前日から抗議の参加者が夜通し座り込みを行っていた台北の総統府前の広場には27日朝、「第4原発の建設を止めろ」などと抗議スローガンを叫ぶ群衆が結集した。群衆は主要地下鉄駅がある近くの8車線幹線道路、忠孝西路(Chung-shiao West Road)へと行進すると、警察の警戒線を破って道路を占拠し、交通を停止させた。

 現場にいたAFP特派員によると、抗議の参加者よりもはるかに多い機動隊が約30分後に道路中央からあっさり退くと、群衆からは拍手や歓声が湧いた。バスや車両はこの交差点を迂回させられ、交通は途絶えた。警察が発表した抗議の参加者数は2万8500人となっている。

 デモ隊側は、立法院(議会)で原発建設問題が審議される29日まで座り込みを続けると宣言している。(c)AFP