【4月28日 AFP】英ロンドン(London)の金融街シティ(City)にそびえ、独特の形状からキュウリのピクルスをさす「ガーキン(Gherkin)」の愛称で市民に親しまれている名物高層ビルが、このほど破産管財人の管理下に置かれたことが明らかになった。

 41階建てのオフィスビル「30セント・メアリー・アクス(30 St Mary Axe)」は、英国人建築家ノーマン・フォスター(Norman Foster)氏の設計。2004年に再保険会社「スイス・リー(Swiss Re)」本社ビルとして開業した。

 曲面ガラスに覆われた独創的な外観はロンドン市内でもひときわ目立つ存在で、『ハリー・ポッターと謎のプリンス(Harry Potter and the Half-Blood Prince)』やウディ・アレン(Woody Allen)監督の『マッチポイント(Match Point)』など数々の映画にも登場している。

 ビルの所有権はドイツの不動産会社「IVGイモビリエン(IVG Immobilien)」が07年に6億ポンド(約1000億円)で買収したが、08年の世界金融危機の後は債務がかさんで経営を圧迫していた。

 国際会計事務所デロイト(Deloitte)の24日の発表によると、デフォルト(債務不履行)が5年続いたため主要債権者によってデロイトが破産管財人に指名されたという。共同管財人のネビル・カーン(Neville Kahn)氏は、「ガーキンは類まれなビルで、世界的な知名度を誇るランドマークだ。その資産価値を保持するのが最優先課題だ」と述べ、いかなる混乱も起きないようテナントや資産管理者と緊密に連携していることを明かした。(c)AFP