タイタニック号で事故当日に書かれた手紙、約2000万円で落札
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【4月27日 AFP】1912年4月15日未明に沈没した豪華客船タイタニック(Titanic)号の乗客が船内で書いた、現存する最後の手紙が26日に英国で競売にかけられ、11万9000ポンド(約2040万円)の高値で落札された。
手紙は2等客室に乗っていたエスター・ハート(Esther Hart)さんが沈没前日の14日の日曜日の午後にしたためた。移住先のカナダに向かっていたハートさんは、娘のエバ(Eva)さんと救命ボートに乗り込み、客船カルパチア(Carpathia)号によって無事救助されたものの、夫のベンジャミン(Benjamin)さんは死亡した。
手紙はタイタニック号の便箋に書かれ、タイタニック号が英サウサンプトン(Southampton)に戻り次第、英国にいるハートさんの母親に配達される予定だった。後日ハートさんは夫のコートのポケットからこの手紙を見つけていた。便箋には「タイタニック号の船内にて」と印字されており、船の所有者だった英海運会社ホワイト・スター・ライン(White Star Line)の旗が型押しされた封筒も付いている。
ハートさんは「親愛なる皆様」で始まる手紙で、14日に昼食を取った後に図書室で休んでいるとしたうえで、「昨日は一日中とても気分が悪く、何も飲んだり食べたりできませんでしたが、今日は回復しています」と述べている。また、「船の大きさから揺れはないと言われていますが、大きな揺れはもうたくさん。決して忘れません」と揺れを経験したことを明らかにして、「天気は大変良いのですが、風があって寒いです。火曜夜にはニュ―ヨーク(New York)に到着するかも知れないとのことですが、実際には水曜朝の予定です」と記し、到着次第、改めて手紙を書くつもりだ、と書いていた。
手紙を売却した英イングランド(England)南西部ディヴァイザス(Devizes)のオークションハウス、ヘンリー・オルドリッジ・アンド・サン(Henry Aldridge and Son)のアンドリュー・オルドリッジ(Andrew Aldridge)氏は、この手紙はタイタニック号の事故発生当日に書かれ、沈没を逃れて知名度の高い生還者が所有していた手紙としては現存する唯一のもので、その重要性はどんなに高く評価しても評価しすぎるということはないとコメントした。(c)AFP