「血染めの布」の血痕、ルイ16世のものではない?DNA研究
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【4月25日 AFP】フランス国王ルイ16世(Louis XVI)が1793年にパリ(Paris)で処刑された際、民衆がその血に浸して持ち帰ったとされる「血染めの布」について、その真正性に新たな疑問を投げかけるDNA分析の結果が24日、英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表された。
ルイ16世の血を浸したといわれている「血染めの布」について欧米の研究者によるチームがDNAの全ゲノムを解析したところ、ルイ16世の特徴とされる「背が高く目が青い」外見となる可能性は低いことが判明した。
血痕がついたこの布片は、装飾が施されたヒョウタン製の容器に詰められていた。容器には「1月21日、マクシミリアン・ブルダルー(Maximilien Bourdaloue)は、ルイ16世の断頭後に流れた血にハンカチを浸した」との文章が刻まれていた。この人物が乾燥させたヒョウタンに布を詰め、さらにヒョウタンの外側に革命の英雄たちの肖像を施させたとされている。
今回の解析には、2010年に同じ血痕のDNA鑑定でルイ16世の特徴と一致すると結論付けた論文にも加わったスペイン・バルセロナ(Barcelona)にある進化生物学研究所(Institute of Evolutionary Biology)のカルレス・ラルエサフォックス(Carles Lalueza-Fox)氏も参加している。同氏はAFPの取材に対し、今回は全ゲノムを解析したもので、より完全だと語った。
同氏によれば、ヒョウタンの中から確認されたDNAの約76%は、イタリア北部出身の系統を示す遺伝子シグネチャーの持ち主のもので、中欧寄りの系統とされるルイ16世とは一致せず、外見的には仏王室で最も背が高かったとされるルイ16世とは反対に中背で、目は茶色だった可能性の方が高いという。また残る24%のDNAはこの布に触れた少なくとも3人のものである可能性があるが、いずれもブルボン朝の系統とは関係ないという。
今回の研究は、布に付いた血痕がルイ16世のものである可能性は否定することはできないが、おそらくルイ16世のものではないと結論付けている。(c)AFP/Mariette LE ROUX, Véronique MARTINACHE