【4月25日 AFP】ウクライナ東部で今週、同国からの分離独立を掲げる親ロシア派に拉致され、拘束されていた米国人記者が24日、解放された。本人がAFP通信に語った。

 米オンラインメディア「バイスニュース(Vice News)」の記者サイモン・オストロフスキー(Simon Ostrovsky)氏(33)が電話で語ったところによると、同記者は21日、ウクライナ軍と親ロシア派が戦闘状態となっている東部スラビャンスク(Slavyansk)で取材中に拉致された。拘束された後に殴られ、当初は手を縛られた上、目隠しをされたが、解放後の現在は元気だという。

 オストロフスキー氏は「(拉致された後)1日半ほどしてから、目隠しを取られ、手の拘束も解かれた。その後は普通に扱われた」と述べた。またスラビャンスクの中央広場にある検問所で拘束された際、分離派が記者の顔写真を持っていたことから、自分を特定して捜していたのだと思うと語った。解放された際には「ただ、荷物を持って、行っていいと言われた」という。

 オストロフスキー氏はすぐにスラビャンスクを出て、バイスニュースのスタッフが待つウクライナ東部の中心都市ドネツク(Donetsk)へ向かうと述べた。同記者はアゼルバイジャンのAFP支局に勤務していたこともある。

 ウクライナの分離派に同記者が拉致されたことは、米ニューヨーク(New York)を拠点とするバイスニュースやその他、ウクライナ東部で取材を行っている報道機関を動揺させた。米国務省と国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は懸念を表明し、記者の解放を求めていた。

 スラビャンスクの分離派側の市長を自称するバチェスラフ・ポノマリョフ(Vyatcheslav Ponomarev)氏は、オストロフスキー記者は「報道関係者を装った工作員」だと非難し、同記者の報道に異議を唱えていた。

 バイスニュースはウェブサイト上に発表した声明で同記者の解放を喜び、寄せられた支援に謝意を表明した。 (c)AFP