【4月23日 AFP】ウクライナは22日、親ロシア派勢力に対する軍事行動を再開した。2日間の日程で同国を訪問していた米国のジョー・バイデン(Joe Biden)副大統領が、ウクライナをめぐるロシアの動向について警告し帰途に就いた数時間後のことだった。

 ウクライナ暫定政権のオレクサンドル・トゥルチノフ(Oleksandr Turchynov)大統領代行は同日遅く、親ロシア派が掌握している同国東部のスラビャンスク(Slavyansk)で「残酷な拷問を受けた」2遺体が見つかったことを受けて、ウクライナ軍に対親ロシア派の軍事行動再開を指示したことを明かした。トゥルチノフ氏によると、このうちの1人は近隣の町から最近誘拐されていた、トゥルチノフ氏の政党に所属する地方議員だったとしている。

 ウクライナの現状については内戦への突入を危惧する声も多く聞かれる中、スラビャンスク上空を飛行していたウクライナ側のAn30偵察機が銃撃される事件が発生し、緊張はさらに高まっている。ウクライナ国防省によると、同機は数か所に銃弾を受けたものの、緊急着陸に成功し乗員にけがはなかったという。

 ウクライナ軍による対親ロシア派の軍事行動再開と同時に、米国防省も「演習」を理由に近隣のポーランドとバルト諸国に600人の部隊を派遣すると発表した。一方ロシアはすでに、ウクライナ東部との国境付近に数万人規模の兵士を集結させている。

 一連の動きは、東西関係を冷戦終結後最も危険なレベルまで悪化させたウクライナ危機の深刻さを改めて示すものだ。(c)AFP/Marc BURLEIGH