「ユダヤ人殺し」という名の町、改名めぐり住民投票へ スペイン
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【4月22日 AFP】スペイン北部の小さな町「カストリージョ・マタフディオス(Castrillo Matajudios)」──スペイン語で「ユダヤ人殺しの砦」を意味する──で、町の名前が時代にそぐわないとの町民からの意見を受け、この町長が21日、町名変更の是非を問う住民投票の実施を発表した。
北部ブルゴス(Burgos)市近郊にある人口56人のカストリージョ・マタフディオス。ロレンソ・ロドリゲス(Lorenzo Rodriguez)町長は、5月25日に投票を実施すると述べた。
変更の実施が決まった場合、町民らは新しい町の名前として「モタ・フディオス(Mota Judios)」もしくは「モタ・デフディオス(Mota de Judios)」のいずれかを選択する。これらの名前はいずれも「ユダヤ人の小山」を意味し、これまでの「不快なニュアンス」は軽減される。
町長はAFPの取材に対し、「ずっとこの町に住んでいる私たちは深く考えもしないが、一歩町の外で出るとやはり印象はよくない」と話す。
町長によると、この町ができたのは1035年。財産すべてを没収され、住居を追われたユダヤ人たちがこの地に定住したのが始まりだという。しかし1492年に、当時のカトリックの君主がユダヤ人をスペインから追放することを決め、改宗したユダヤ人だけがこの地に留まることを許された。
■ユダヤ人の多くが火あぶりに
考古学者のアンヘル・パロミノ(Angel Palomino)氏によると、歴史文書に「カストリージョ・マタフディオス」という名前の記述が初めて現れるのは1623年だという。
「スペインを含む欧州の多くの町で起きたのと同様に、この町でもユダヤ人殺害の例が数件あったことが分かった」(パロミノ氏)
さまざまな推論があるものの、1492年の追放以前には、スペインには少なくとも20万人のユダヤ人が住んでいたと歴史学者らは考えている。改宗や転居を拒んだ者の多くは、火刑に処せられたこともあったという。(c)AFP