【4月21日 AFP】韓国南西部・珍島(Jindo)沖で起きた旅客船セウォル(Sewol)号の沈没事故で、職務怠慢と乗客の安全確保を怠った容疑で逮捕されたイ・ジュンソク(Lee Joon-Seok)船長が4年前に船旅の安全性をアピールするプロモーションビデオに出演し、乗客が乗員の指示に従いさえすれば海の旅は安全だと語っていたことが明らかになった。

 地元テレビが放映した2010年のものとされる動画の中で、白い船長服に身を包んだイ船長は笑顔で、今回の事故が起きた仁川(Incheon)~済州(Jeju)島の航路について「安全で快適な旅」を約束。「(旅客船は)他のどの公共交通機関よりも安全です。みなさんが乗員の指示に従っている限りは」と述べていた。

 事故の生存者は、乗員が乗客らに座席や客室にとどまるよう指示したと証言しており、それによって多数の人々が逃げ遅れたとみられている。また20日に公開された事故当時のセウォル号と珍島の管制センターとの交信記録からは、乗員がパニックに陥り、優柔不断ととれる対応をしていたことが明らかになっている。

 イ船長と乗員の大半は沈む船の中に乗客を残したまま脱出した。韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領は21日、船長と一部の乗組員の行為は許されないものであり「殺人に等しい」と糾弾した。(c)AFP