【4月21日 AFP】グリーンランド(Greenland)の氷床のはるか下に、270万年もの間保存されていた氷河期以前のツンドラ地形を発見したとの研究論文が、17日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 氷河は、植物や土、さらには岩盤の上層部に至るまで、流域の陸地にあるものすべてを根こそぎ削り取ってしまうことが知られている。そのため、研究チームはこのツンドラ地形が厚さ3キロの氷の下に元の状態のまま存在されているのを発見して非常に驚いたという。

 研究を率いた米バーモント大学(University of Vermont)の地質学者、ポール・ビアマン(Paul Bierman)氏によると、今回の発見は、グリーンランドの氷床がこれまで知られていたよりもはるかに長い間存在し、過去に数多く発生した地球温暖化の期間を切り抜けてきたという有力な証拠をもたらすものだという。

 氷床についてビアマン氏は、地形を削って形を変えるのではなく、地面に凍り付いて「古代の地形を保存する冷蔵庫」として効果的に作用してきたと説明する。

 氷床の歴史の中で最も気温が高かった時期でも、グリーンランド中部は安定して氷が完全に融解しなかったために、数百万年に及ぶ温度の変化を経てもツンドラ地形が元の状態のまま密閉保存されたことを、今回の発見は示唆している。