ウクライナ東部で反ユダヤ文書、何者かによる挑発か
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【4月19日 AFP】ウクライナ東部のドネツク(Donetsk)でユダヤ人登録を要求するパンフレットが配られ、ユダヤ人コミュニティーに衝撃が広がっている。
正体不明のグループが15日にシナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)の前でこのパンフレットを配布した。現地のレオニード・クラスノポロスキー(Leonid Krasnopoloski)さん(43)は、「彼らの1人は手にしていたパンフレットをわれわれに読めと言った。彼が頭のフードを取らなかったので、われわれは断った。そうしたらパンフレットをシナゴーグに貼り付けて立ち去った」と語った。
パンフレットには親ロシア派のスタンプが押され、その指導者1人の署名が入っている。その内容は、すべてのユダヤ人は5月3日に、親ロシア派が占拠している地方自治体庁舎に集合して登録料として50ドル(約5100円)を支払えというもの。さもなければ同地域から排除される恐れがあると脅している。
パンフレットに署名が載せられた親ロシア派の指導者デニス・プシーリン(Denis Pushilin)氏は18日の記者会見で、「われわれの名で配布されているが、これは挑発だ。私の署名は偽造だ」と語り、パンフレットとの関係を強く否定した。
米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は17日、「長い歴史を経た2014年のいま、これはただ容認できないだけでは済まされない。グロテスクだ。受け入れがたいというのを超えている」と述べた。
現地のユダヤ人長老指導者たちは、ウクライナの暫定政権と同国東部の分離を主張する勢力の間の緊張を高めるため、何者かが反ユダヤ的な文書を配布したとみているが、誰がそれを行ったのかは分からないとしている。(c)AFP