【4月16日 AFP】米国を拠点とする「北朝鮮の人権のための米国委員会(US Committee for Human Rights in North KoreaHRNK)」は15日、北朝鮮で成長している地下経済を通じて同国政権に外貨をもたらしている不正な活動に一般の市民が関与する例が増えているとする報告を発表した。

 報告は、不正事業から利益を得ているのは依然として支配層のエリートだが、そうした活動において北朝鮮政権が握ってきた独占が緩んでいる証拠があり、「こうした傾向は、北朝鮮の国家と社会の間に存在する隙間が拡大していることを示唆しているため重要だ」としている。

 RNKによれば、北朝鮮政権は40年にわたって国境を越えた犯罪組織に関与し、麻薬、アンフェタミン系興奮剤、偽造通貨、絶滅危惧種の製品、たばこやブランド靴などの偽造品などを取引するネットワークを運営してきた。しかし欧米諸国からの圧力もあり、北朝鮮政権が後ろ盾となっている違法事業は2005年までにより小規模なものに移行し、支配層が手にする利益は減ったか、少なくとも目につきにくくなっている。

 違法薬物や偽装品の取引といった非合法活動に加え、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)政権にとってもう一つの外貨獲得源となっているのが、観光、労働者派遣、中国に暮らす朝鮮族からの送金、携帯電話に対する「非公式な課税」、武器売却などといった、地下経済も含めた隣国・中国との貿易だ。(c)AFP