【4月15日 AFP】シリア政府軍は14日、歴史あるキリスト教徒の町マアルーラ(Maalula)を反体制派から奪還した。前日にバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領が、3年に及ぶ同国内戦で政権側が優勢になりつつあると表明したばかりだった。

 治安当局者は、「政府軍がマアルーラを完全掌握し、治安と安定を回復した。カラムン(Qalamun)地方のテロは制圧した」と述べた。

 現地で取材しているAFP記者によると、反体制派が基地として使ってきたホテルはほぼ完全に破壊され、崖に面した建物正面も倒壊しているという。

 ホテルから下ったところにある東方典礼カトリック教会の聖サルキス(Mar Sarkis)修道院も損傷を受けた。壁には迫撃砲による攻撃の跡が残り、内部には聖像などが散乱していた。これまでの戦闘では避難せず村内に残っていた住民らも、残らず姿を消している。

 マアルーラは昨年12月に反体制派に制圧されていた。しかしシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、今は政府軍と、同軍を支持しているレバノンのイスラム教シーア(Shiite)派原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)が「カラムン地方をほぼ完全に支配している」という。

 風光明媚(めいび)なマアルーラでは、住民の大半がイエス・キリスト(Jesus Christ)が使っていたとされるアラム語の一種を使用しており、シリアに古代キリスト教の信徒がいたことを示す重要な象徴の地となっている。