ユダヤ系施設で発砲、3人死亡 米カンザス州
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【4月14日 AFP】(一部更新)米カンザス(Kansas)州で13日、ユダヤ系のコミュニティーセンターと高齢者居住地区でそれぞれ発砲があり、警察によると少なくとも3人が死亡した。
事件が起きたカンザスシティー(Kansas City)近郊オーバーランドパーク(Overland Park)の地元警察によると、反ユダヤ主義とのつながりがあるフレイジャー・グレン・クロス(Frazier Glenn Cross)容疑者の身柄が拘束された。容疑者は地元住民ではなく、犠牲者と顔見知りではなかったという。
米国内のヘイトグループ(人種や宗教に基づく差別・憎悪を扇動する集団)を調査している人権団体「南部貧困法律センター(Southern Poverty Law Center、SPLC)」によると、クロス容疑者はフレイジャー・グレン・ミラー(Frazier Glenn Miller)の別名も名乗っており、白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(Ku Klux Klan、KKK)」の元リーダーの1人として白人至上主義とつながりの深い人物。反ユダヤ主義にも傾倒していたという。
地元テレビ局KSHBは、容疑者の男が連行される際に「ハイル・ヒトラー(ヒトラー万歳)」と叫んでいたと報じているが、警察はこの報道の真偽の確認を拒否している。
SPLCによると、クロス容疑者はミズーリ(Missouri)州オーロラ(Aurora)在住。ネオナチ(Neo-Nazi)系ウェブサイト「バンガード・ニューズ・ネットワーク(Vanguard News Network)」のメンバーで、同サイトにこれまで1万2000件以上のメッセージを投稿しているという。
犯行に使われたのはショットガン(散弾銃)とされ、地元警察は米連邦捜査局(FBI)と協力し、拳銃とアサルトライフルも使用された可能性について捜査している。
オーバーランドパーク警察の専属ラビ(ユダヤ教指導者)を務めるハーバート・マンドル(Herbert Mandl)師が米CNNテレビに語ったところでは、最初の発砲事件は、子どもたちが戯曲のためのオーディションを受けていたコミュニティーセンターで、午後1時(日本時間14日午前3時)ごろ発生。
容疑者は、発砲する前に人々に対してユダヤ人かどうか聞いたという。同センターではティーンエージャー1人を含む2人が殺害された。
容疑者はその後、車に乗って介護センターへと向かうと、最初の発砲から15分後に、70代の女性を殺害した。
発砲があった時、センター内には子どもを主とした約75人がいたが、地元テレビ局KCTVによると、センター関係者は、事件が起きたのは駐車場だったと話している。
事件が起きた13日は、ユダヤ教の行事「過越(すぎこし)の祭り(Passover)」開始日の前日だった。(c)AFP