【4月13日 AFP】イランは12日、同国の次期国連大使への入国査証(ビザ)発給を米国が拒否したことを受け、任命を撤回しない意向を表明し、法的措置も検討していると述べた。

 次期大使に任命されたハミド・アブタレビ(Hamid Aboutalebi)氏は、イラン革命から数か月後の米大使館人質事件(1979年11月)に関与したとされ、米国にビザ発給を拒否された。これに対してイランのアッバス・アラクチ(Abbas Araqchi)外務次官は、メヘル通信(Mehr)に「代わりの人選は検討していない」とコメントし「国連の法的制度を通じて」問題を追及する考えを強調した。

 ビザ発給をめぐるイランと米国の対立は、外交の突破口とイラン核問題をめぐる国際合意を目指すオバマ米政権に難題を突きつけている。国連本部が置かれている米国は、国連に派遣される外交官に対してビザ発給の義務を負う。1990年代初めにイランが国連大使の任命者を引き揚げた事例は一度あったものの、米政府が国連大使へのビザ発給を拒否した前例はない。

 米議会はアブタレビ氏の入国を拒否する法案を圧倒的賛成多数で可決し、核問題をめぐるオバマ政権の外交姿勢に懐疑的な見方を強めている。こうした議会からの並々ならぬ政治圧力は、ホワイトハウスを窮地に追い込んでいる。

 アブタレビ氏はオーストラリアとイタリア、ベルギーのイラン大使を歴任し、現在はハサン・ロウハニ(Hassan Rowhani)大統領の政治問題局のトップ。米大使館人質事件を起こした学生らの通訳という限定的役割を担ったことは認めているものの、事件への関与は否定している。ただ米議会は法案可決にあたって同氏を「テロリスト」と決めつけ、外交特権を認められた身分で国連本部のあるニューヨーク(New York)に受け入れるべきではないとの見解を示した。(c)AFP/Mohammad Davari