米国で感染広がるブタ流行性下痢ウイルス、豚肉価格の高騰懸念も
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【4月10日 AFP】米国における夏の楽しみであるアウトドアでのバーベキューに暗雲が立ちこめている──致死性のブタ流行性下痢(PED)ウイルスが各地の養豚場で流行していることから、豚肉の価格が急騰する兆しがみられるためだ。
PEDウイルスは2013年5月、米国で初めて公式に検出され、現在は全米50州のうちの27州で流行中となっている。
この伝染性のウイルスは、人間には伝染せず、食品安全性にもリスクを及ぼすことはないと米農務省(US Department of Agriculture、USDA)は断言している。だがブタでは下痢と嘔吐(おうと)を引き起こし、子ブタは高い確率で死ぬ。
そしてPEDウイルスに対する懸念から、バーベキューシーズン中の豚肉の供給に不足が生じる可能性がある。そのため一部の加工業者が買いだめを行うと、価格の上昇につながりかねない。
シカゴ商品取引所(Chicago Board of Trade、CBOT)では、4月に供給される豚肉の価格は今年に入ってから45%以上の急騰をみせている。
PEDウイルスに感染したブタの数について、USDAは公式の情報を示していないが、農産物市場の市場調査と貿易を手掛ける米アレンデール(Allendale)の調査部門責任者、リッチ・ネルソン(Rich Nelson)氏によると、昨年5月以来、全生産量の約6~8%に相当する700万匹のブタがPEDに感染したという。
2012年に食肉処理場に送られたブタの数が約1億1300万匹に上る米国は、中国に次いで世界で2番目に豚肉の生産量が多い。
PEDウイルス拡散を抑えるための予防措置としては、家畜運搬車の徹底した清掃や、飼育場への訪問者制限といった対策がすでに講じられている。今後、気温の上昇とともに、同ウイルスの伝染力は低下することが見込まれる。