【4月10日 AFP】チャイナタウンのギャングたち、銃の密輸、フィリピンのイスラム武装勢力、「シュリンプボーイ」と呼ばれる怪しげな人物、そして犯罪組織から渡された現金が詰まった封筒──。まるでテレビドラマのような筋書きだが、米連邦捜査局(FBI)によると、これは選挙資金を得るためならほぼ手段を選ばなかったカリフォルニア(California)州の州上院議員の実話だ。

 停職中のリーランド・イー(Leland Yee)議員は8日、サンフランシスコ(San Francisco)の連邦裁判所に出廷し、収賄と銃密売の罪状について無罪を主張した。有罪の場合、終身刑が言い渡される可能性もある。

 当初サンフランシスコのチャイナタウンの暗黒街を標的に始まったFBIのおとり捜査は、政治腐敗の摘発へと予想外の展開を見せ、イー議員はこの捜査により訴追された29人の中で最も注目を浴びる人物となった。

■銃密輸をおとり捜査官に提案?

 逮捕状発行のための137ページに上る宣誓供述書によると、イー議員は選挙運動で背負った借金の返済に必死だった。

 資金繰りに困ったイー議員はマフィアの構成員とされる人物(実際はFBIの覆面捜査官)に接触し、国外の犯罪組織から銃器を密輸するという驚きの提案をした。イー議員は当初、銃器はロシアから密輸されるだろうと述べていたが、他に可能性のある国として「イスラム諸国」を挙げたという。

「われわれは金稼ぎができると思うかって?私はできると思うね」と、イー議員はコーヒーを飲みながらおとり捜査官に話したとされる。「ブツを入手できると思うかって?私はできると思うね」