下半身不随患者の電極移植術が向上、随意運動の回復に期待も
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【4月9日 AFP】下半身不随患者の失われた神経機能回復を助ける下部脊髄への電気刺激の技術にさらなる進歩がみられたとの研究報告が、8日の英医学専門誌ブレイン(Brain)に掲載された。
論文を発表した米ルイビル大学(University of Louisville)などの研究チームによると、この技術は3年前に1人の患者に対して慎重な試験が行われた後、交通事故で下半身不随になってから少なくとも2年が経過した別の若い男性患者3人で臨床試験が行われてきたという。
論文によると、下部脊椎の神経束に電気刺激を与えるための電極を移植された患者らは、自発的に膝を曲げたり、腰や足首、つま先を動かしたりできるようになったという。
患者ら4人は、歩行こそできなかったが、この目標に向けての重要なステップとなる「体重の一部を自分の力で支えること」はできるようになり、快適な生活という面で「劇的」な改善を経験した、と研究チームは付け加えた。
ルイビル大のケンタッキー脊髄研究センター(Kentucky Spinal Cord Injury Research Center、KSCIRC)のクラウディア・アンジェリ(Claudia Angeli)氏によると、患者のうちの2人は、両下肢のまひだけでなく、下半身の感覚喪失との診断も受けており、回復の見込みはなかったという。
まひは、手足の動きを指示するために脳から神経線維を通して発信される電気信号の経路となる脊髄が損傷を受けることで起こる。切断された神経線維を手術で再びつなぎ合わせたり、薬剤や幹細胞を用いて再生したりする試みは長きにわたり行われてきた。