小児脳腫瘍、関連の遺伝子変異を特定 治療に道開くか
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【4月8日 AFP】子どもの脳腫瘍にみられる遺伝子変異によって、致死性のがんと闘うための興味深い道が開けたとする、3件の独立した研究論文が、6日の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)で発表された。
研究者らはこの手掛かりとなる変異を、ACVR1と呼ばれる遺伝子で発見した。ACVR1は、小児期の脳腫瘍の一種「びまん性内在性橋グリオーマ(DIPG)」に関与しているとみられる。DIPGは、現時点では治療不能とされている。
仏ギュスタフ・ルーシーがん研究所(Institut Gustave Roussy、IGR)などが発表した3件の論文では、DIPGの生体検査の20~33%でこの変異がみられたという。
脳幹に発生するDIPGは、小児脳腫瘍の中で最も悪性度が高い。脳幹は生命を保つ基本的な身体機能の中枢であるため、DIPGを手術で安全に除去することは不可能だ。
ACVR1の変異型はこれまでにも、全身の筋肉と腱(けん)が次第に骨組織に変化して硬化する珍しい疾患「進行性骨化性線維異形成症」で確認されていた。ただ、がんでACVR1遺伝子が特定されたのは、今回が初めて。
IGRは声明で、今回の研究が早期状態からの進行など、DIPGの基本メカニズムの一部を理解するのに役立つはずと述べている。
IGRはまた、欠陥遺伝子に対して使用される可能性のある「特異的阻害剤」の開発も進行中であることを明らかにした。(c)AFP