【4月4日 AFP】小さなビキニと官能的なカーニバル・ダンサーの国、ブラジルでは、肌を露出している女性はレイプされて当然と多くの人が思っていることが、世論調査で分かった。この結果を受けて、激しい怒りの声も上がっている。

 ブラジル政府の応用経済研究所(Institute for Applied Economic ResearchIPEA)が先月末に公表した調査結果によると、アンケートに答えた男女3810人の約65%にあたる2480人が、「肌を露出した服」を着ている女性に対するレイプは当然だとする答えを示した。

 また回答者の58.5%が、「女性が振る舞い方を知っていれば、レイプ被害は減少する」ということにも同意した。

 5月~6月に実施されたこの調査の回答者のうち、66.5%は女性だった。

 調査結果が公表されると、ブラジル国内の女性や一部の男性は、即座にブログやソーシャルメディアに怒りのコメントを寄せた。

 ジャーナリストのナナ・キーロス(Nana Queiroz)さん(28)は、交流サイトのフェイスブック(Facebook)上で抗議行動を開始した。女性ユーザーに対して、「私はレイプされて当然ではない」というフレーズが書かれた紙や腕などで上半身を隠した状態のトップレスの写真を撮ろうと呼びかけたところ、およそ2万人の女性がいっせいに写真を公開したという。

 抗議行動の開始以降、キーロスさんは、自身も数回にわたってレイプの脅迫を受けたとし「1番の驚きは、カーニバルでは裸で歩いてもある程度許されるのに、実生活ではだめということ」と話した。

 今回の調査では、肉体や官能性に対する狂信的なこだわりと、ブラジル社会で大きな影響力を持つ保守的なカトリック教義との衝突という同国特有の矛盾点が明るみになった。

 ブラジルのジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領も、今回の調査結果を批判。自身のツイッター(Twitter)アカウントに、「ブラジル社会が進むべき道のりは長い」と投稿した。

 ルセフ大統領は昨年、性的暴力の犠牲者の保護を目的とした法律に署名した。カトリック教会(Catholic Church)は、1億2300万人の世界最大のカトリック教徒人口を擁するブラジルにおいて、中絶の広範囲にわたる合法化に向けた最初の1歩だとしてこの法律を批判した。

 ブラジルでは現在、妊娠8週以内のレイプ被害者と命に危険のある母親のみに中絶が認められている。(c)AFP