土星の衛星、探査機が氷の下に海を観測 生命存在の可能性も
このニュースをシェア
【4月4日 AFP】(写真追加)土星の衛星エンケラドス(Enceladus)には、表面の氷の下に融解した水の広大な海が存在するとの研究論文が、3日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。米航空宇宙局(NASA)の土星探査機カッシーニ(Cassini)が衛星の南極付近で観測した。
地球で2番目に大きいスペリオル湖(Lake Superior)とほぼ同じ大きさで、底が岩石質になっているとみられており、そこには極小の生命体が存在できる環境が形成されている可能性もあるという。
研究者らは2005年、エンケラドスの南極付近にある噴気孔から水蒸気が噴出しているのを観測し、地下に広大な海が存在する可能性を指摘していた。
NASAでカッシーニ・プロジェクトを担当する科学者のリンダ・スピルカー(Linda Spilker)氏は「エンケラドスの南極にある蒸気噴流の物質には、生命の基本的な化学的要素である塩水と有機分子が含まれている」と述べる。
同氏は「この発見により、太陽系内と他の星の惑星系に存在する『ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)』に対するわれわれの見方が広がった」と付け加えた。
無人の軌道周回探査機カッシーニは、2010~2012年に3回行われたフライバイ(接近通過)中にエンケラドスの重力場の形状を観測した。
エンケラドスの内部に何が含まれているかを知るための手掛かりを求め、研究者らはカッシーニにかかる重力を詳細に分析。その結果、直径約500キロのエンケラドスの分厚い氷の下には広大な海が存在するとの見解を得た。
論文の共同執筆者で、米カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)のデービッド・スティーブンソン(David Stevenson)教授(惑星科学)は「われわれはエンケラドスの内部構造を解明するため、地球物理学的手法を初めて採用した」と述べ、「この研究を通じて、南極の裂け目から水が噴き出している理由を説明する1つの説が提供された」と続けた。(c)AFP