【4月4日 AFP】ウクライナの暫定政府は3日、2月の反政権デモで90人近い死者を出した2日間の流血の惨事の責任は、ロシア情報機関の工作員と、退陣に追い込まれたビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)前大統領にあるとする調査結果を発表した。

 雪に覆われたウクライナの首都キエフ(Kiev)中心部で続いていた警官隊とデモ隊の衝突は、2月18日に何者かが発砲したことで一気に激化した。デモ参加者の中には金属製の盾しか持っていなかった人もおり、多数の命が失われた。

 警官隊とデモ隊の双方が、先に発砲したのは相手側だと主張している。これまで正式な調査結果は公表されていなかったが、アルセン・アバコフ(Arsen Avakov)内相代行は3日、報道陣に対し暫定的な調査結果を発表。その内容は断定的で、ウクライナの新指導部とロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の関係を決定的に悪化させる恐れもある。

 アバコフ氏は、ヤヌコビッチ前大統領がデモ参加者への発砲という「犯罪的な命令」を出し、ロシア連邦保安局(Federal Security ServiceFSB)の工作員らがこの攻撃の計画と実行を支援したと主張した。

 また、ウクライナ保安庁のバレンティン・ナリバイチェンコ(Valentyn Nalyvaichenko)長官も同じ記者会見の場で、「FSBの工作員がいわゆる反テロ作戦の計画と実行に関与した」と話した。

 これに対し、FSBのある報道官は国営ロシア通信(RIA)で、ウクライナの主張は明らかに間違っていると述べた。ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相も、「非常に多くの証拠」がウクライナ側の主張と食い違っていると指摘した。

 現在ウクライナは、この事件の数日後にロシアに入ったヤヌコビッチ前大統領を、市民に対する発砲を警察に命じた容疑で指名手配している。前大統領は容疑を認めていないが、これにより今後数年間はウクライナには戻れない可能性が高い。

 アルセニー・ヤツェニュク(Arseniy Yatsenyuk)ウクライナ暫定首相は英国放送協会(BBC)に対し、「ヤヌコビッチ前大統領は起訴される。大量殺人の容疑がかけられており、法の裁きを受けさせる」と述べた。(c)AFP/Oleksandr SAVOCHENKO and Olga ROTENBERG in Moscow