【4月3日 AFP】カナダで2日、高齢の雇い主の女性宅に勝手に移り住み、女性の銀行預金を使い切った家政婦の女と夫が逮捕された。

 トロント(Toronto)警察によると、独り暮らしをしていたノーマ・マーシャル(Norma Marshall)さん(94)がポルトガル人の家政婦、ベラ・ヌネス(Vera Nunez)容疑者(32)を雇ったのは4年前のことだった。

 ヌネス容疑者の仕事範囲は徐々に拡大していき、昨年のある日、マーシャルさんがノックに応じてドアを開けると、そこには家財道具一式を持ち、夫と子どもたちを引き連れたヌネス容疑者が立っていた。ヌネス容疑者と夫は、マーシャルさん宅に移り住むと宣言。マーシャルさんは狭い寝室に追いやられ、ほぼ監禁状態に置かれた。

 さらに2人は、マーシャルさんが老後の蓄えとしていた約2万5000カナダドル(約240万円)の銀行預金にも手をつけたうえ、宝飾類や家具などマーシャルさんの所有財産を売り払い始めた。

 2人の悪事が発覚したのは、定期的にマーシャルさん宅を訪れていた配達業者が異変に気付いたことがきっかけだった。

 記者らへの説明によると、配達業者の男性は毎週水曜日にマーシャルさんに処方薬を届けていた。ところが、ある日マーシャルさんの親戚と名乗る男が応対に出たため、男性は不審に思った。10年以上もマーシャルさん宅に配達に訪れているが、マーシャルさんの親族を見たことは1度もなかったからだ。

 翌週、再びマーシャルさん宅を訪れた男性はマーシャルさんと話をさせてほしいと頼み込みマーシャルさんの部屋に連れていかれた。そこで見たマーシャルさんはベッドに縛り付けられていたという。「彼女は私を見ようともせず、怖がっていた。それで何かがおかしいと気付いた」と男性は語った。

 警察はヌネス容疑者と夫のルイス・セルパ・デ・コンシダード・サントス(Luis Serpa de Considad Santos)容疑者(38)を詐欺、窃盗、財産損壊、不法居住などの容疑で逮捕した。

 事件について、マーシャルさんは「預金のこともそうだけど、それより心に負った傷が大きい。年をとってからは多くのお金はいらないけど、周りにいてくれる人たちが必要なのよ」と語っている。(c)AFP