中東和平交渉に崩壊の危機、米国務長官 中東訪問を中止
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【4月2日 AFP】イスラエルとパレスチナは1日、米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官が仲介している和平交渉を崩壊させかねない動きをそれぞれ発表した。これを受けてケリー氏は、この2日間で2度目となるはずだった中東訪問を中止した。
ケリー氏は3月31日遅く、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相と2時間にわたって会談し、その後パレスチナ側の交渉担当者らと会った。翌4月1日午前、同氏はネタニヤフ氏と再び会談し、その後ひとまずイスラエルを離れた。
ケリー氏は難航している和平交渉の期限を当初の今月29日から延期するようパレスチナ側を説得するため、2日に再度中東を訪問することになっていた。
しかしケリー氏がイスラエルを出てから数時間後に、イスラエルが東エルサレム(East Jerusalem)に新たに建設する入植住宅708戸の入札を実施することが明らかになった。米国は、入植の凍結を求めていく方針を固めていた。
その後程なくして、今度はパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長が、15 の国連(UN)機関と国際条約に加盟申請すると表明した。これは、ケリー氏の仲介で昨年7月に始まった9か月間の和平交渉の間は行わないと約束していたことで、それをほごにした形となった。
アッバス氏の発表の直後、米国務省の高官が「明日(2日)の訪問は取りやめる」と述べた。
イスラエルは昨年7月の和平交渉再開時に、拘束しているパレスチナ人受刑者104人を4回に分けて釈放すると約束し、これがイスラエルとパレスチナの双方が再交渉に応じる前提条件となっていた。これまでに3回の釈放が行われたが、イスラエルが4回目の26人の釈放を拒否したため、米国が仲介する中東和平交渉は崩壊の危機に直面していた。
交渉は複数の問題で行き詰まりを見せており、その1つがイスラエルによるパレスチナ人居住地への入植拡大問題だ。パレスチナ側は、東エルサレムなどへの入植住宅の建設凍結を要求している。(c)AFP/Hossam EZZEDINE, John DAVISON