【4月2日 AFP】北大西洋条約機構(NATO)は1日、ウクライナ南部クリミア(Crimea)半島での危機をめぐり、ロシアとの全ての実務協力を停止したと発表した。また、ロシアがウクライナとの国境付近から部隊を撤退させたと主張していることについて、その事実は確認できなかったとして疑念を示した。

 2日間の日程で開かれているNATO外相理事会でアナス・フォー・ラスムセン(Anders Fogh Rasmussen)事務総長は、「軍事・文民両部門のあらゆる実務協力を停止している」と述べた。ただし「対話のための外交ルート」は開いたままだと付け足した。

 一方、ウクライナ国境付近から部隊を撤退させたというロシアの主張については、「これはわれわれが目にしてきたこととは違う」として、その事実は確認できなかったと警告した。

 ウクライナと米国は、ロシアが数千人規模の部隊を国境付近に集結させていると非難し、ロシア系住民が多いウクライナ南東部の占領をロシアが狙っているとの懸念を表明していた。

 だがドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領から電話があり、軍撤退について個人的に連絡を受けたと公表しており、プーチン氏の言葉を疑う「理由がない」と語っていた。

 ロシア側から緊張緩和の姿勢が見られた時点でNATOは、先に取り沙汰されていたロシアと国境を接する国々での軍備強化の方針はひとまず取り下げ、対露協力を当面の間停止して対話に時間をかけることを優先させた。

 ラスムセン氏は、「これからの最善の道は政治的・外交的対話だと誰もが認識していると思う」と述べたが、同時にNATOは「同盟国を効果的に防衛し保護することを固く決意している」ことも強調した。(c)AFP/Alex PIGMAN, with Dmitry ZAKS in Kiev