【4月1日 AFP】スイス・ジュネーブ(Geneva)の捜査当局が、宝石保管大手企業が保管していた推定時価5000万ドル(約51億7000万円)のピンクダイヤモンドの行方が分からなくなっている事件について、捜査を行っていることが分かった。

 スイスの公共放送局RTSの3月30日の報道によると、南アフリカでダイヤモンド貿易会社を経営するギニア出身のシラ・ムサ(Sylla Moussa)氏が昨年9月、宝石などの貴重品の保管・輸送を手掛けるマルカ・アミット(Malca-Amit)社に保管を依頼していた50.66カラットのピンクダイヤモンドが消えたと訴え出たことを受け、検察当局が捜査を命じた。

 警察当局は今年3月中旬にジュネーブにある同社の複数の施設を捜索し、幹部3人を捜査対象としたという。

 同社の弁護士は、RTSに宛てた電子メールで、ムサ氏の主張を否定した上で「マルカ・アミット社は、違法行為に関わったという疑惑を払拭(ふっしょく)するために当局に全面的に協力している」と説明した。

 南アフリカ・ヨハネスブルク(Johannesburg)に本拠を置くシラ・ダイヤモンド・インターナショナル(Sylla Diamond InternationalSDI)を経営するムサ氏は、この長方形の巨大ピンクダイヤの保管に関する契約を2007年にマルカ・アミット社と結び、売却のタイミングを検討していた。

 ところがムサ氏の話によれば昨年8月、マルカ・アミット社に対してダイヤを見たいと申し入れたところ、かつての取引先だった南アフリカの実業家に引き渡されたと告げられたという。ムサ氏は、この実業家こそが今回の「犯罪」の首謀者だと話している。

 ムサ氏はさらに、2007年8月16日に交わされた同社との契約で、ダイヤの所有者はムサ氏ただ1人と定められていたのにもかかわらず、ダイヤが引き渡されてしまったと主張している。

 ムサ氏はRTSに対し、「私はすでに6か月間ジュネーブにいるが、私のダイヤを見つけ出すまでここを離れる気はない」と述べた。

 一方、マルカ・アミット社の弁護士はRTSに対し、このダイヤが同氏自身の手によって2008年の4月29日に持ち出されたことを証明する契約書が存在すると主張。同社がムサ氏の主張を「名誉毀損」であるとして、法的手段に訴えることを検討していると明かした。(c)AFP