【3月31日 AFP】米国心臓病学会(American College of Cardiology)で29日、宇宙空間に滞在中の宇宙飛行士の心臓が肥大していると、米国の研究チームが発表した。これは、微小重力状態で長時間過ごすと、心臓疾患につながる可能性があることを示唆するものだという。

 この研究結果は、火星への長期ミッション参加を望む人々にとって問題となりうるだろう。

 米首都ワシントン(Washington D.C.)で開催の米国心臓病学会(American College of Cardiology)で発表されたデータは、宇宙空間で超音波検査をした宇宙飛行士12人から得たものだ。微小重力状態で心臓は、球状に9.4%大きくなるとともに弱くなっていったという。

「宇宙では心臓の働きが弱くなり、筋肉量の減少につながりかねない」と、米航空宇宙局(NASA)の研究を主導した科学者ジェームズ・トーマス氏は指摘する。「これは地球に戻ってきたときに深刻な問題になりえる。そのため私たちは予防策を模索している」

 発表によると、研究対象となった宇宙飛行士たちの心臓は地球に戻るとすぐに、通常のサイズと形になったという。

 宇宙飛行士たちは現在、国際宇宙ステーション(International Space StationISS)に最大6か月間滞在しながら交代制で活動している。

 今後、数十年の間に行われるとみられる火星ミッションでは、約18か月に及ぶ宇宙空間での滞在が必要で片道切符になる可能性もあるという。(c)AFP