【3月31日 AFP】結婚することで健康な心臓が作られる一方で、離婚や死別は心臓疾患の発症率の上昇に関連しているとする350万人の調査結果に基づく研究論文が28日、米国心臓病学会(American College of Cardiology)で発表された。

 今回の研究は、心臓の健康が結婚歴とどのように関連しているかを明らかにするためのこの種の研究としては過去最大規模となる。

 論文の主執筆者で、米ニューヨーク大学ランゴンメディカルセンター(New York University Langone Medical Center)特別研究員(循環器学)のカルロス・アルビアール(Carlos Alviar)氏は「今回の研究結果が人々を結婚に駆り立てることはまずないとは思うが、誰と結婚するかや、なぜ結婚するか、なぜしないのかなどに関する決断が、血管系の健康に重要な意味を持つかもしれないのを知ることは重要だ」と話す。

 論文によると、離婚した人は、何らかの血管系の病気や腹部大動脈瘤(りゅう)、冠動脈疾患、脳血管障害などの発症率が独身者に比べて高くなるという。

 また配偶者と死別した人は、結婚を一度も経験していない人と比較すると、何らかの血管系の病気と冠動脈疾患の発症率がわずかに高くなる。

 研究チームは、この健康との関連性が50歳未満の人々で最も顕著だったことを知って驚いたという。アルビアール氏は「結婚と血管系疾患の発症率低下との関連性は、若年の被験者ほど強かった。これは予想していなかったことだ」と述べた。

 50歳未満のグループでは、結婚している人は心臓疾患や動脈疾患の発症率が12%低かった。

 51歳以上60歳以下のグループでは、心臓疾患の発症率に7%の低下がみられ、61歳以上のグループでは4%の低下がみられた。

 今回の研究の患者データは、100ドルを支払ってスクリーニング検査プログラムに参加した350万人のデータが登録されている米国のデータベースから得られたものだ。スクリーニングの参加者は、2003年~2008年の期間に全米50州から集められた。

 スクリーニングへの参加は有料だったため、参加者は一般人口を代表してはいないかもしれない、と論文の執筆者らは指摘している。また、マイノリティー(非白人層)からの参加人数も少なかった。

 今回の研究は、結婚によってより健康的な心臓が作られることを明らかにしたが、結婚自体の健全性については評価していない。

 おそらく研究を重ねることで、人生を変える出来事が心臓疾患にどのように影響するかに関する手掛かりが得られるかもしれない、とアルビアール氏は付け加えた。(c)AFP/Kerry SHERIDAN