【3月28日 AFP】ウクライナの首都キエフ(Kiev)の国会議事堂前に27日夜、数日前に幹部を警察に射殺されたと主張する極右の民族主義者らが多数結集し、議事堂の窓を割るなどして、アルセン・アバコフ(Arsen Avakov)内相代行の辞任を要求した。

 ウクライナでは24日、西部リブネ(Rivne)で警察が極右組織「右派セクター(Pravy Sektor)」の地域幹部、オレクサンドル・ムジチコ(Oleksandr Muzychko)容疑者を逮捕しようとした際に銃撃戦となり、ムジチコ容疑者が死亡した。当局側はムジチコ容疑者が先に発砲を始め、自分の撃った銃弾で死亡したとしている。

「右派セクター」は、ビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)前大統領を追放した大規模な抗議デモで決定的な役割を果たした。ロシア当局からはネオナチ組織とみなされている。23日に政党を結成し、全国組織の指導者にドミトロ・ヤロシ(Dmytro Yarosh)氏を選出。5月25日に行われるウクライナの大統領選に同氏を候補として擁立する方針だ。

 27日、国会周辺には最大1000人の「右派セクター」メンバーが結集し、赤と黒の旗を振りかざして内相代行の罷免を要求した。

 内務省の発表によると、死亡したムジチコ容疑者は「サシュコ・ビリー(Sashko Bilyi)」の別名で知られ、組織犯罪絡みで当局に指名手配されていた。24日の銃撃戦はカフェで警察の特殊部隊が同容疑者の身柄を確保しようとした際に起き、警察は足など5発を同容疑者に撃ち込んだが、致命傷となった弾はムジチコ容疑者の銃から発射されたものだったという。

 この作戦で、ムジチコ容疑者と共にいた男3人が逮捕された。男たちはカラシニコフ自動小銃やマカロフ拳銃で武装していたという。

 ロシアの報道機関によると、ムジチコ容疑者はチェチェンの分離独立派側についてロシア軍と交戦した際に、ロシア軍兵士20人の死に関与したとしてロシアで指名手配されていた。(c)AFP