【3月27日 AFP】1966年に会社専務一家4人が殺害された「袴田事件」で、強盗殺人などの罪で死刑が確定していた袴田巌(Iwao Hakamada)死刑囚(78)について、静岡地裁は27日、再審開始を認める決定を下した。袴田死刑囚は、刑が確定してから世界で最も長く収監された死刑囚とされている。

 村山浩昭(Hiroaki Murayama)裁判長は、有罪判決を勝ち取るために、(重要な)証拠が捜査機関に捏造(ねつぞう)された可能性があると指摘。再審を認めるとともに、収監し続けることは「正義に反する」として、死刑と拘置の執行停止を命じた。

 日本における死刑囚の再審開始決定は、戦後6例目。

 元ボクサーで、みそ製造会社の工場に勤務していた袴田死刑囚は1966年、強盗に入った上司宅で上司とその妻、2人の子どもの4人を殺害し家に火を付けたとして、強盗殺人などの疑いで逮捕された。同死刑囚は当初、容疑を否認していたが、その後、犯行を自供した。しかし、公判では一貫して無実を主張。自白については、殴打などを含む過酷な警察の取り調べの結果だと訴えたが、80年に最高裁で死刑が確定していた。(c)AFP/Hiroshi HIYAMA