【3月27日 AFP】2009年に大西洋に墜落したエールフランス(Air France)機の残骸の位置を特定した「数学の魔術師」たちが、このほど消息を絶ったマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH370便の捜索にも協力する意気込みを見せている。

 米国の科学コンサルティング企業メトロン(Metron)は今のところ、同機の捜索への協力要請は受けていない。だが既に、これまでに公表されているわずかなデータを基に、調査に着手した。

 米首都ワシントン(Washington D.C.)に近いバージニア(Virginia)州レストン(Reston)にあるメトロン本社で26日、AFPの取材に応じた同社の高等数学応用部門を率いるバン・ガーリー(Van Gurley)氏は、「独立した評価を始めるため、公表されている全データの入手を試みている」と語った。評価の結果は、「関心を持つ人なら誰にでも公開する」意向だという。

 1982年に設立されたメトロンには現在、応用数学の専門家らを含む170人の職員がおり、ソナー(水中音波探知機)システムなど、米国の国家安全保障に高度に特化した数理解析を行っている。

 だが同時に、18世紀初期の英国の統計学者で哲学者、長老派の牧師でもあったトーマス・ベイズ(Thomas Bayes)が考案した定理に基づき同社が開発した捜索救助手順は、米沿岸警備隊の間で幅広く利用されている。

 この手順は、「ある問題に関する情報のうち、入手可能なもの全てについて調べ、各情報に確信度(どれだけ確信がもてるか)をつけることを強いる、構造化された手法だ」(ガーリー氏)という。この手法の下ではどんなささいなデータも捨てられることはないが、情報が確実になっていくにつれて(例えば、衛星画像に写った点が本物の残骸だということが判明した時など)、対象物が特定の位置にある確率が高まることになる。