【3月27日 AFP】韓国・ソウル(Seoul)市当局は26日、公共交通機関に掲出される美容整形手術の広告を規制する方針を固めたことを明らかにした。同市には、こうした広告が人々の身体イメージに対する不健康な脅迫観念を増長させているとの苦情が多数、寄せられていたという。

 韓国は、ソウルを中心に美容整形手術が一般的なことで、国際的にも知られている。屋外掲示板や地下鉄の車両内、バス停やバスの車体後部などあちこちに、著名な外科医を登場させた広告や、巨大な「術前術後」写真が掲げられている。

 高級住宅やブランドショップなどが多い同市江南(Gangnam)区の中心部にある地下鉄・狎鴎亭洞(Apgujeong)駅では、掲出されている広告のおよそ半分が、鼻の手術や顔のしわ取りなど、美容整形手術を宣伝するものだ。この駅の周辺には、何百件もの美容整形クリニックがある。

 新規制の下では、地下鉄の駅構内に掲出される広告のうち、美容整形業界に関連するものを20%以下にとどめることが規定される。また、術前術後の写真のうち、「過度に扇情的な」写真やスローガンも禁止されるという。このほか、小学校・中学校・高校の周辺にあるバス停ではこうした広告の貼り出しが禁止される。

 同市の関係者はAFPに対し、「市民から寄せられる苦情のうち、こうした広告が外見に関する強迫観念を増長させている、広告の写真は見ていて不快だ、といった内容のものが増えている」と明らかにした。

 関係者らによれば、市に寄せられる苦情の件数は、美容整形手術の失敗に関連した死亡事故が相次いだことで急増した。今月には34歳の女性が鼻の手術中に窒息死したほか、30代の男性が顎骨の手術の3日後に亡くなった。また、昨年12月には鼻を手術した女子高校生が昏睡(こんすい)状態になる事故も起きている。(c)AFP