【3月27日 AFP】(写真追加、一部更新)カリクロー(Chariklo)と名付けられた小惑星の周囲に2重の輪があることを発見したと、国際観測チームが26日、英科学誌ネイチャー(Nature)に報告した。輪を持つ天体としては木星、土星、天王星、海王星に続いて5つ目だが、これまで見つかった中で最小だという。

 カリクローは直径250キロメートルほどの表面がごつごつした小惑星で、土星と天王星の間の軌道で太陽を周回している。氷とちりでできた不安定な天体「ケンタウルス族(Centaur)」の1つで、ギリシャ神話に登場する精霊にちなんで命名された。

 カリクローの2つの輪は、2013年6月に小惑星が恒星の前を通過した際、南アメリカに1500キロメートルの範囲で配置された望遠鏡7台によって観測された。

 観測チームによると、小惑星が恒星の前を通過した際、予想通りに掩蔽(えんぺい)と呼ばれる現象が起き、小惑星に遮られた恒星は数秒間視界から消えた。だが、この食は天文学者の予想をはるかにしのぐ規模だった。

 欧州南天天文台(European Southern ObservatoryESO)は声明で、「掩蔽の数秒前と数秒後の2度にわたり、極短時間だが恒星の明るさが低下した。カリクローの周りにある何かが光を遮った」と述べた。

 この現象を調べた結果、小惑星の周りに細い2つの高密度の輪があることが分かった。天体の輪についてはこれまで、太陽系の4惑星にのみ存在するとみられていた。

 2つの輪の幅は7キロと3キロで、間には9キロの間隔がある。土星の輪と同様、カリクローの輪は水の氷でできている可能性がある。観測チームではブラジルの川にちなんでそれぞれ「オイアポケ(Oiapoque)」「チュイ(Chui)」と名付けた。(c)AFP/Mariette LE ROUX