【3月27日 AFP】エジプトで昨年7月にムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領を退陣に追い込んだアブデルファタフ・サイード・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)国防相が26日、大統領選に出馬するために軍トップの職を辞任したことを明らかにした。

 軍最高評議会議長(陸軍元帥)の制服姿で机の前に座り、国民に向けてテレビ演説した同氏は、「国防相と軍司令官を辞任することを決意した。軍服を着た姿を国民に見せるのは今日が最後だ」として、「非常に慎み深い気持ちを持って、エジプト大統領選への立候補を表明する」と表明。エジプトから「テロリズム」を排除すると宣言した。

 他に有力な候補がいないことから、6月までに行われる見通しの大統領選で同氏が当選することは確実とみられている。法と秩序を訴える同氏の主張は、国民の間で高い支持を得ている。

 しかし、同氏の立候補表明により、イスラム主義勢力の抵抗は激化する可能性がある。また、軍政の復活とホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)元大統領が率いた旧政権時代の高圧的な政治手法を懸念する世俗派の活動家らの間でも、不安が高まっている。

 モルシ氏の出身母体のイスラム組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」は、シシ氏が指導する「影」の下では、エジプトの安定はないだろうと警告した。(c)AFP/Samer AL-ATRUSH, Tony GAMAL-GABRIEL