【3月26日 AFP】地球上で火星の環境を、ちりに至るまでそっくりに再現する実験装置を開発したとする研究論文が、25日の米学術誌「レビュー・オブ・サイエンティフィック・インスツルメンツ(Review of Scientific Instruments)」に発表された。

 スペイン・マドリード(Madrid)の研究施設「Instituto de Ciencias de Materiales」などの研究チームは、火星の気温、気圧、大気組成、放射線量などの環境条件を再現するための真空槽を作製した。真空槽でシミュレーションを行い、太陽から数えて4番目の惑星における探査ミッションに向けた装置の開発を助けることが目的だという。

 火星上にかつて生命を維持できる環境が存在したかどうかを明らかにする目的で行われている、米航空宇宙局(NASA)の火星探査ミッションでも、探査車をはじめ、高性能なセンサーや機器類が実際に使用されている。

 今回の研究を率いた同研究施設のホセ・アンヘル・マルティン・ガゴ(Jose Angel Martin-Gago)氏は「火星は、地球に似た惑星について知るために適した場所だ。そのためNASAや欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)の多くの探査ミッションの対象となっている」と説明する。

 研究チームは現在、主に次期探査機用の気象観測機器の開発でNASAと共同研究を行っている。真空槽は、NASAの無人探査車キュリオシティー(Curiosity)に搭載されている気象センサーの一部をテストするために用いられている。