【3月25日 AFP】アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)が同国の首都カブール(Kabul)の高級ホテルを襲撃した事件で、事件当時ホテルにいたフランス通信(Agence France-PresseAFP)の記者とその家族のうち重傷を負いながら唯一生き残った2歳の次男に回復の兆しがみられると病院関係者が24日、明らかにした。

 20日夜にタリバンの未成年メンバー4人組が「セレナホテル(Serena Hotel)」を襲撃し、AFPのサルダール・アフメド(Sardar Ahmad)記者(40)と妻、長女(6)、長男(5)を含む民間人9人が死亡した。

 アフメド記者の次男アブザル(Abuzar Ahmad)くん(2)は頭蓋骨に銃弾の破片を受け、胸と左の大腿(だいたい)部も負傷したが、家族の中でただ一人、命を取りとめた。アブザルくんの頭蓋骨に入っていた銃弾の破片は既に取り除かれ、現在はけがの治療が行われている。

 アブザルくんが入院しているイタリア系救急病院の医療コーディネーター、ルカ・ラダエリ(Luca Radaelli)さんは、アブザルくんが助かったのは事件後すぐに病院に運ばれたからだと述べた。

 医師らによると、アブザルくんの容体は依然として予断を許さないが、自力呼吸をするまで回復し、口で物を食べたりストローでジュースを飲んだりしているという。医師団はしばらくは集中治療を続ける方針。

 アフメド記者の兄弟のバシール・ミルザド(Bashir Mirzad)さんは24日、家族と共にアブザルくんを見舞った後、「わたしたちは悪夢の中にいるようだったが、わずかに希望の兆しが見えてきた」と語った。やはりアフメド記者の兄弟であるファイサル・カーン(Faisal Khan)さんも「世界がアブザルの回復を祈ってくれている。彼はサルダール(アフメド記者)の忘れ形見なんだ。われわれも手を合わせて祈らなければ」と述べた。(c)AFP