■絵の多くには「刑務所」が登場

 今回の調査団に同行した小児科医のカレン・ツビ(Karen Zwi)氏と児童精神科医のサラ・マレス(Sarah Mares)氏は、拘束が及ぼす影響により、子どもたちが自分の体をかんだり、壁などに頭をぶつけたりする例が発生していると報告している。

 ツビ氏は「親が抑うつや不安に悩まされている、健康上の問題を抱えていて子どもの面倒をみきれない、環境が劣悪といった場合、子どもの成長に大きな影響を与える」と説明し、「私たちが出会った子どもたちの幾人かには、明らかに発達遅滞(通常、発話の遅延)や夜尿症といった退行現象がみられた」と述べた。

 またトリッグス氏は、子どもたちが描いた絵の多くに刑務所が登場していると指摘し、「実際、子どもたちは名前ではなく番号で呼ばれており、それ自体がショッキングなことだ」と述べ、収容されている人々は投獄されたように感じていると話した。

 さらに同氏は「彼らはどう考えても長過ぎる期間にわたって収容され続けており、それも難民認定の審査や定住のために、いつナウルやパプアニューギニアへ行くことになるのか分からないままとどめ置かれている」と話し、「オーストラリアは国際人権法に基づき、子どもたちの収容は、危険から保護するための最終手段としての場合のみにする義務がある」と強調した。

 オーストラリアの懲罰的な難民政策の下では、ボートで漂着した難民や沖合で拿捕(だほ)された難民は、ナウルやパプアニューギニアの収容所に移送され、難民認定や定住の手続きはオーストラリア国外で行われることになっている。

 スコット・モリソン(Scott Morrison)豪移民相からはこれまでのところ談話は得られていない。

 今回の調査は、移民施設への収容が子どもたちの健康や成長、発達に与える影響を研究し、10年前に実施された同様の調査と比較検討するために実施されている。(c)AFP