【3月25日 AFP】米国家安全保障局(NSA)が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)のネットワークに過去数年にわたり侵入していたとの報道を受け、同社は24日、NSAを非難する声明を発表した。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)と独ニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)は22日、NSAが華為技術の電子メール記録や同社の幹部間の通信、さらには企業秘密とされる一部製品のソースコードなどにアクセスしていたと報じた。この報道は、米当局の監視プログラムを暴露して訴追されロシアに亡命した元NSA職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者が持ち出した文書に基づいている。

 華為技術の国際部門担当副社長ローランド・スラデック(Roland Sladek)氏は声明の中で「報道されている行為が事実だとすれば、わが社の社内ネットワークに侵入し、通信を監視するそうした活動を、華為技術は非難する」と表明。さらに、同社は「ネットワークのセキュリティを脅かすあらゆる活動に反対し、すべての政府や業界関係者、ユーザーらと協力し、開けた透明性のある方法で、ネットワーク・セキュリティの世界規模の問題に取り組む意思がある」と述べた。

 ニューヨーク・タイムズが引用している2010年の文書によると、「ショットジャイアント(Shotgiant)」と呼ばれるNSAのプログラムの当初の目的は、同社と中国軍のつながりを探すことだった。しかし目標には徐々に、同社が第三世界に販売している通信製品に侵入することで、米国の関心の対象である世界中のネットワークへのアクセスを得ることが含まれるようになったという。

 米政府は、華為技術と中国政府の間にあるとされる密接なつながりを理由に長年、同社を安全保障上の脅威とみなしている。同社は軍との関係を否定しているが、米国とオーストラリアはスパイ行為が懸念されるとして、ブロードバンド関連の事業に同社を参入させていない。

 一方、NSAも声明を発表し、同機関の監視活動は「情報収集上の必要に応じた外国の有効な情報活動をのみを標的にするよう限定されている」と反論。またスノーデン容疑者などが示唆している、NSAが米企業の代わりに工業スパイにも踏み込んでいるとの疑惑には「外国情報に関する収集能力を、外国企業の企業秘密を盗むために用いることはない」と断固否定した。(c)AFP