【3月24日 AFP】アフガニスタンの首都カブール(Kabul)の高級ホテルで20日夜に起きた襲撃事件について、ハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領が委員長を務める同国の米国家安全保障会議(National Security CouncilNSC)は23日、「アフガニスタン国外で」計画されたものだと述べ、パキスタンの関与を示唆した。

 外国人に人気の「セレナホテル(Serena Hotel)」を襲ったのは、4月5日に控えているアフガニスタンの次期大統領選を、暴力によって阻止することを宣言している旧支配勢力タリバン (Taliban)の未成年メンバー4人組で、その場で全員射殺された。犠牲となった民間人9人は、フランス通信(Agence France-PresseAFP)のサルダール・アフメド(Sardar Ahmad)記者(40)夫妻とその子ども2人の4人、さらにもう1人のアフガニスタン人、その他、カナダ人2人、米国人1人、パラグアイ人1人。

 この事件についてNSCは声明で「目撃者の証言や予備情報の分析は、このテロ攻撃がアフガニスタンの外の他国の情報機関によって直接実行されたことを示している」と発表した。またNSCは、襲撃の前にセレナホテルの廊下を調べるパキスタンの外交官が目撃されていたと主張している。

 パキスタンはアフガニスタンの旧支配勢力だったタリバンの主要な後ろ盾であり、アフガニスタン当局は以前から、パキスタンの強力な情報機関とイスラム原理主義勢力であるタリバンとの間につながりがあると疑念を呈している。

 今年に入りカブールで外国人や外国人が集まる場所が標的とされた重大な襲撃事件は3度目。こうした類の襲撃によって、大統領選で独立選挙監視委員会が効果的に機能しなくなり、選挙の信頼性が損なわれる可能性が恐れられている。

 2001年の米同時多発テロ後、政権の座を追われたタリバンが率いる反政府勢力と、米軍の主導で13年間、戦闘を続けてきた北大西洋条約機構(NATO)軍は現在、撤退しつつある。タリバンと対峙するアフガニスタンの治安部隊は、この駐留NATO軍5万3000人の支援を失うため、大統領選が問題をはらむ結果となれば、選挙の勝者は弱い立場に置かれるだろう。(c)AFP