【3月24日 AFP】2011年7月22日に起きた、ノルウェーの首都オスロ(Oslo)と近郊の島で77人が殺害された爆破・銃乱射事件の「碑」設置計画をめぐり、遺族や住民の間から強い反発が起きている──碑は、事件現場となったウトヤ(Utoeya)島に面する小さな半島に幅3.5メートルの「切り込み」を入れるランドスケーピングだ。

「傷の記憶」と名付けられたランドスケーピングは、同国のランドスケープアーティストのジョナス・ダールバリ(Jonas Dahlber)氏が手掛ける。ウトヤ島では、アンネシュ・ベーリング・ブレイビク(Anders Behring Breivik)受刑者によって69人が殺害された。

 計画では、切り込みによって生じた断面の片面に犠牲者の名前が刻まれ、もう一方の断面には観覧室が設けられる。2月に同プロジェクトが選定された際には大きく歓迎されていたが、批判の声が徐々に強まっていった。

 遺族のなかには、この「前衛的な碑」について一言も相談を受けていないと不満をもらす人もおり、また地元住民からは景観を損なうと反対の声が上がっている。他方、地質学の専門家らは作品を実現することは技術的に不可能と指摘している。

 事件で14歳の娘を亡くしたある母親は、「碑をつくることに反対はしない。ただ問題なのは、計画が決められた過程と立地場所だ」と述べ、「計画が2012年末に持ち上がって以来、犠牲者に最も近い存在である私たちはかやの外に置かれてきた。私たちに相談もせずに子供たちの名前を使うのは横暴だ。死んでしまったけど、今でも私たちの子供であることに変わりない」と続けた。