【3月23日 AFP】中国と台湾間の「サービス貿易協定」の批准に反対する台湾の学生らが立法院(国会に相当)を占拠している問題で、江宜樺(Jiang Yi-huah)行政院長(首相)は22日、協定を取り下げない方針を示し、学生らの協定撤回要求に応じない姿勢を強調した。

 台湾政府当局者と学生らが直接対話したのはこの日が初めて。地元テレビの中継映像によると、護衛に囲まれて徒歩で立法院に向かった江行政院長は協定反対派の一部ともみ合いになり、「辞任しろ」などの罵声を浴びせられた。


 江行政院長は立法院周辺に集結した群衆に対し、「行政院(内閣)が協定を立法院に送ったのは、台湾の(社会経済政策の)自由化と国際化に有用と判断しているためだ。撤回するつもりはない」と明言。その一方、立法院の審議で協定を精査することには賛成すると付け加えた。こうした中、反対派の間からは協定取り下げを求めるシュプレヒコールが上がった。

 協定は1949年から断絶していた中国・台湾間でサービス分野の市場開放を進めるのが狙い。反対派は、協定は台湾経済に打撃を与える上、台湾が中国からの政治的圧力にさらされやすくなるとの主張を展開している。ただ馬英九(Ma Ying-jeou)総統率いる与党・国民党(Kuomintang)はこれを否定し、協定を批准できなければ締結する自由貿易協定(FTA)を増やそうとしている台湾にとって重大な障害になると警告している。

 反対派は、昨年締結された協定を中国に「突き返す」よう馬総統に要求し、立法院での批准を推進する国民党政権の動きを受け入れない姿勢を表明。反対派の学生200人余りは18日から台湾史上初の立法院議場占拠という手法に出ており、この日も江行政院長の発言に対し立ち退き拒否を明言した。

 協定は17日に立法院の委員会で承認され、批准に向けた最初のハードルを越えた。ただ反対派は、委員会の採決は違法だと主張している。(c)AFP