【3月18日 AFP】南極の氷床下で1500年間凍っていたコケを実験で再生することに成功したとする研究論文が17日、米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された。これまでに記録された植物の寿命としては最長だという。

 これまで、コケ類が再生できる期間は20年程度とされてきた。また数千年、数百万年後に再生可能であることが知られている生物はバクテリアのみだ。

 研究チームは、南極にある凍ったコケの堆積物の深部からサンプルを採取し、コケの核を薄くスライスして培養器に入れた。するとコケは数週間後に成長を始めたという。

 炭素年代測定法では、採取したコケは少なくとも1530年前のものである可能性を示している。

 論文の共同執筆者である英国南極研究所(British Antarctic Survey)のピーター・コンベイ(Peter Convey)氏は、「この実験によって、植物のような多細胞生物がこれまで考えられてきたよりもはるかに長期間生き延びられる可能性が示された」と述べ、「生態系にとって重要な役割を持つコケ類が、欧州地域での小氷期など、数百年~数千年続く氷河期を生き抜くことができた」と続けた。(c)AFP