【3月17日 AFP】約8世紀前のモンゴル中央部の温暖で雨がちな気候が、チンギスハン(Genghis Khan)の台頭を後押しした――そう結論付ける研究結果が米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された。

 モンゴルで1100年にわたる樹木の年輪を分析したところ、チンギスハンは乾期に権力を握り、その帝国をアジア全域に拡大したのは、異例なほど良好な天候が続いていた時期だったという。

 論文では、チンギスハンが権力を握る前の時期に当たる1180~1190年にかけて、モンゴルでは深刻な干ばつが起きていたが、帝国が拡大した1211~1225年には、異例とも言える長期間にわたってまとまった降雨がみられ、気温も温和だった。

 共著者の1人、ウェストバージニア大学(West Virginia University)のエイミー・ヘッスル(Amy Hessl)氏は「当時の極端な干ばつから極端な湿潤気候への推移は、人間の歴史に気候が大きな役割を果たしたことを強く示唆している」と述べ、「それが(成功の)唯一の理由ではないが、カリスマ的な指導者が混沌とした状況から出現し、軍隊を増強して権力を集中させるために理想的な条件を生んだと考えられる」と説明している。

 チンギスハンは1227年に死去したが、彼の子孫たちは現在の北朝鮮、韓国、中国、ロシア、東欧、東南アジアやインド、中東にまで及ぶ広大な地域を支配した。

 論文は、共に樹木の年輪を研究するヘッスル氏と、主著者のコロンビア大学(Columbia University)ラモントドハティ地球観測研究所(Lamont-Doherty Earth Observatory)のニール・ペダーソン(Neil Pederson)氏が執筆した。(c)AFP