米国の性産業、初めて実態が報告書に
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【3月14日 AFP】「1回」わずか5ドル(約510円)しか請求しない路上売春婦もいれば、週数万ドルを荒稼ぎする売春あっせん業者たちもいる──米国の売春ビジネスは一大産業だとする調査報告書が12日、発表された。
街には、性的マッサージ店や簡易売春宿、富裕層を対象とした高級娼婦による「エスコートサービス」などがあり、インターネット上には堂々と売春広告が掲載されるなど、性産業の地下経済は、これまで複雑で高利益とされてきた。
このほど米調査グループ「アーバン・インスティテュート(Urban Institute)」が初めて、米国内8都市における性産業市場の金の流れや実態調査を実施し報告書にまとめた。
報告書によると、観光や各種会議の中心地であるジョージア(Georgia)州アトランタ(Atlanta)における性産業の地下経済は、年2億9000万ドル(約290億円)規模にも達していた。これは不法薬物や銃器売買を合わせた額を上回る。
性産業はフロリダ(Florida)州のマイアミ(Miami)でも大きな産業となっていた。もっとも同調査を支援した米司法省によれば、マイアミにおける性産業の規模は2003年の3億200万ドル(約305億円)から07年には2億3500万ドル(約240億円)に落ち込んではいる。
今回の調査で最も目を引く点は、売春婦、あっせん業者、警察官らが明かした性産業の内部事情だ。
あっせん業者数十人へのインタビューは拘置施設で行われたが、彼らは一様に若い白人女性や少女があっせんしやすいと語った。「扱いやすく」周りとも溶け込みやすいし、客もそうした女性を求めるためだという。
あっせん業者は売春婦に1日当たり400ドル(約4万円)から1000ドル(約10万円)のノルマを課す。だが、その儲けは、売春婦の管理のために全て業者が握り、売春婦には食べ物、住居、衣服や贈り物などを支給するという。また業者たちは管理のために売春婦に対し、ハードドラッグを禁じるなど厳しい規則を敷いている。
あっせん業者は1グループが2~36人程度と比較的小規模で運営しているが、運転手やボディーガード、なかには子守りを雇っている業者もいた。
収入は週5000ドル(約50万円)から3万3000ドル(約330万円)だが、ホテルの部屋料金や広告費、衣服費から生理用品まで相当額の出費があるという。
売春婦の立場からは、インターネットのおかげで路上での危険を避けることができる売春婦が多かったが、依然として路上を「うろつき」客を探す女性もいた。
警察官らへのインタビューからは、売春宿やマッサージ店、トップレスバーなどへ潜入する際の苦労がうかがえた。こうした店は特にヒスパニック、アジア系、ロシア、東欧男性などに特化した店が多く、犯罪組織が運営している場合が多いという。(c)AFP/Mira OBERMAN