論文執筆時には成体の頭蓋骨の破片4つが発見されていたが、フィオリロ氏によればその後さらに多くの破片が発掘されている。「土砂が頭蓋骨の中を埋めたので、脳の形が保存されていた。そこから、嗅覚が発達していたことがわかった」とフィオリロ氏は語った。

 今回の研究には関わっていない米シカゴ大学(University of Chicago)の古生物学者、ポール・セレノ(Paul Sereno)氏は、これらの顎や頭蓋骨の断片化石について、「非常に胸躍らせる」ものだと語っている。

 30年前に北極圏で恐竜の骨が発見されたとき、当初はクジラの骨だと勘違いされていた。また過去には、これらの骨はよそから移動してきた恐竜のものだとされたり、生存できなかった子どもの恐竜の骨とされたりしてきた。だが最近の研究により、こういった見解は覆された。

 セレノ氏はAFPに対し「暗闇の中で(恐竜が)生きられるとは、以前では信じられなかった」が、最近続いた新発見によって人々の考え方は変わったと語った。「どうにかして生存していたに違いない。トナカイは、どんな変わった物でも食べられるように、食生活を変化させることが知られている」

 恐竜の名称、ナヌクサウルス・ホグランディは、先住民族イヌイット(Inuit)の言葉でホッキョクグマを指す「ナヌーク」と、恐竜の骨が展示されるペロー博物館に資金援助した天然ガス王のフォレスト・ホグランド(Forrest Hoglund)氏にちなんでいる。(c)AFP/Kerry SHERIDAN