【3月12日 AFP】消息を絶ったままのマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH370便に、盗難パスポート(旅券)で搭乗していた男2人はいずれもイラン出身の不法移民だったとみられると、当局が11日発表した。疑惑の2人の身元判明でテロの可能性は低くなったものの、乗客乗員239人の行方は依然謎に包まれたままとなっている。

 国際刑事警察機構(インターポール、InterpolICPO)は2人の身元を、後にドイツへ向かう飛行機に搭乗予定だった18歳のイラン人と、デンマークへ渡るはずだったサイド・モハマド・リザ・デラバ(Seyed Mohammed Reza Delavar)容疑者(29)だったと発表した。マレーシア警察は若い方のイラン人を19歳と説明していた。

 スウェーデン紙アフトンブラデット(Aftonbladet)は、デラバ容疑者の最終目的地はスウェーデンで、政治亡命申請の意向だったと報じている。

 2人は正規のイラン旅券でカタールのドーハ(Doha)からクアラルンプール(Kuala Lumpur)入りしていた。欧州に住む親族らが、2人が行方不明になっていると通報、その親族らの協力で身元特定に至ったという。

 インターポールのロナルド・ノーブル(Ronald Noble)事務総長はフランスで記者会見し、「これはテロ事件の一部ではなく、密入国あっせん問題の一部だ」という認識を示した上で、「これらの人物は恐らくテロリストではないという確信」がますます強まっていると述べた。

 これを受けてイランは、マレーシア当局の捜査への協力を申し出ており、このイラン人2名についての情報が分かり次第、提供すると言明した。

■密入国あっせん組織が存在?

 東南アジア諸国の警察は、この身分詐称の背景には密入国あっせんがあるという見方を強めている。この2旅券はイタリアとオーストリア国籍のもので、過去2年間にタイで盗まれたものだった。タイ警察は以前から、活発に取引され犯罪組織が悪用している欧米の旅券の取り締まりに取り組んできている。

 タイ南部を管轄する警察署長はAFPに対し、「これら2つの旅券は、第三国、特に欧州諸国での就労を希望する人々を渡航させる密入国あっせん組織によって盗まれたと考えている」と語った。(c)AFP/Shannon TEOH