クリミア差し出しウクライナ救うか、対プーチン戦略にジレンマの欧米
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【3月11日 AFP】世界の指導者たちが、決して認めはしないが、嫌々受け入れざるを得ないかもしれない、ウクライナ危機の醜悪な解決策──それは、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領にクリミア(Crimea)を差し出すことで、ソ連崩壊後のロシアの力を復興させた全能の指導者として覚えられたいというプーチン氏の野望を十分に満たし、残りのウクライナ領土に手を出さないことを願う、という方法だ。
このような宥和政策は、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領に対する米国内の批判勢力にとっても、プーチン氏の好戦的姿勢を目の当たりにし自国の安全を懸念する東欧の旧ソ連構成諸国にとっても、受け入れられるものではないだろう。
しかし、1954年に時のソ連最高指導者ニキータ・フルシチョフ(Nikita Khrushchev)によって、ロシア語圏でありながらウクライナに「贈り物」として割譲されたクリミアを守るために、プーチン氏率いる核保有国ロシアと交戦しようという大国はない。それどころか、どの大国も残りのウクライナをロシアの衛星国という軌道から引きずり出し、自分たちの友好国としてロシアの西端を押さえてほしいと願っていることだろう。
「プーチン大統領が今のウクライナ暫定政権を認めさえすれば、欧米は(クリミアの)占領に関して鼻をつまんでそっぽを向くかもしれない」と米ラトガース大学ニューアーク校(Rutgers University-Newark)のウクライナ専門家、アレクサンダー・モティル(Alexander Motyl)教授は語る。
その場合、「プーチン氏は非常に明確な保証を示さなければならず、欧米側はそうした合意をプーチン氏側が破った場合にどのような結果を招くかを明示しておかねばならないだろう」というが、「残念なことにプーチン氏の物言いや行動からは、彼がクリミアで止まるだろうと示唆するものは何もない」と警戒する。
一方、英ロンドンにある王立国際問題研究所(チャタムハウス、Chatham House)のジェームズ・ニクシー(James Nixey)氏は「プーチン大統領がこれ以上、進むことはない」と反論する。「その可能性は非常に低い。彼はすでに欲しかったものを手に入れたからだ」。米経済専門テレビCNBCに出演したニクシー氏は「クリミアは失われた」と語った。「クリミアは落ちた」