【3月11日 AFP】米当局による大衆監視プログラムを暴露したエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者は10日、自分の行いについて後悔はなく、この暴露によって、スパイ活動や情報収集に関する公の議論に火が付いたと語った。

 亡命先のロシアから、米テキサス(Texas)州オースティン(Austin)で開催中のITの祭典「SXSW」にビデオ中継を通して参加したスノーデン容疑者は、自分が米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)などの情報収集活動を暴露したのは、秘密とされていたプログラムについて「市民の理解を深めてほしかったためだ」と述べ、監視についての議論から「世界中の社会が恩恵を受けている」と語った。

 ビデオ中継は、米国自由人権協会(American Civil Liberties UnionACLU)の会員に向け行われた。NSAの職員だったスノーデン容疑者は、米当局からはスパイ行為で起訴され、現在はロシア国内で居所を隠して暮らしており、ACLUによると今回の中継は同容疑者の居場所を突き止められないよう、7つのプロキシサーバーを介して行われた。

 大写しにした合衆国憲法を背景に画面に登場したスノーデン容疑者は、NSAによる情報収集・監視プログラムは、合衆国憲法が定める権利を根本から変えるものだと警告。「憲法解釈が『不当な捜索や押収は許されない』から、『どんな押収も問題ない。ただ、捜索はするな』に変えられてしまっている」と述べた。

 スノーデン容疑者が今回SXSWで話すことを選択したのは、テクノロジー企業に大衆監視を食い止めるため、通信の暗号化などの対策を促すことが重要だと考えたからだという。

 さらにスノーデン容疑者は、NSAなどの情報機関はこうした膨大な情報収集に過剰なほど多くのリソースを割く一方で、犯罪者やテロリストを捕えるための旧来の手法には十分なリソースを割いていないと批判。ボストン・マラソン(Boston Marathon)で起きた爆破事件を例に、「もしここまで大衆監視に注力せずに、従来モデルに従っていたなら、(容疑者らを)捕まえることができたかもしれない」と述べた。(c)AFP/Rob Lever