【3月11日 AFP】ドイツ・ブンデスリーガの強豪バイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)のウリ・ヘーネス(Uli Hoeness)会長は10日、注目を集める脱税裁判の初公判で、当局の予想を上回る多額の資金を隠ぺいしたことを明らかにしながらも、自身は「ソーシャル・パラサイト」ではないと強調した。

 想定外だったのは、ヘーネス会長の弁護士が起訴された金額の350万ユーロ(約5億円)を大幅に上回る1850万ユーロ(約26億5000万円)を脱税したと認めたことだった。

 会計上の不正をすべて白状すると誓ったヘーネス会長は、株の「ギャンブル」にのめり込んでいた時期に、スイスの銀行口座に数百万ユーロの資金を隠ぺいしたとミュンヘン(Munich)の法廷で証言した。

 元サッカー選手で実業家でもある62歳のヘーネス会長は、実刑を受ける可能性がある公判の初日を迎え、「すべてが明らかになり、審議にかけられることがうれしい」と述べた。

「自分の不正行為をとても後悔している。この苦しい時期を終わらせるためなら何でもする」

 ドイツサッカー界の重鎮で、役員を務める現在はスポーツ界でも顔が広く、保守的なトークショー番組にもレギュラー出演していたヘーネス会長の裁判は、ドイツ国民の注目を集めていた。

 2013年に初めてヘーネス会長に脱税容疑がかけられた際、その余波はスポーツ界から政界にまで及び、1970年代のドイツ代表選手がスキャンダルを起こしたことについてアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相までもが「失望」を表明していた。

 満員となった法廷で、後悔した表情を浮かべていたヘーネス会長は「私は納税義務を怠りました」と証言した。

「出廷することでその事実が変わらないことも理解しています。自主的に事実を明らかにすることで、刑事責任を逃れられればと思っていました」

 ヘーネス会長はチューリヒ(Zurich)の銀行口座について2013年1月に自白しているが、検察側はその時点ですでに捜査は始まっており、自白の内容は不自然で無効だと主張している。(c)AFP/Ralf ISERMANN